日帰り前立腺生検
局所麻酔下 経会陰前立腺針生検+標的(ターゲット)生検
Local anaesthetic transperineal prostate biopsy(LATP)
なぜ、前立腺標的生検が必要か?
院長の願い、不要な生検を極力減らしたい!
PSA高値、MRI検査異常がある場合など、前立腺がんを疑った場合、確定診断をつけるために、世界共通で、前立腺生検(組織を採取する検査)を行います。
PSA高値・前立腺生検がなぜ必要なのか詳しい説明は、下記をご参照ください。
無駄な生検とは?治療しなくてもいいがん
MRI検査を施行しない時代は、PSAが高いだけで生検検査が行われ、現在よりもより多くの無駄な生検が行わていた可能性があります。
英語では“Significant cancer”といいますが、日本語で言い換えると“臨床的意義が高いがん”つまり治療が必要ながんのことを指します。
こうした“臨床的意義が高いがん”は、予後に影響する可能性があり、こうしたがんを見つけ、治療することが前立腺がん診断では重要です。
PSAが高いからといってなんでもかんでも生検すると、治療が必要でないがん、治療してもしなくてもかわらないようながんを見つけてしまうことがあります。
これらは、過剰診断、過剰治療となり余分な検査、治療となるため、何としても避けなければなりません。
生検は、治療が必要ながんを見つけ治すため行います
生検をする意味は、あくまでも将来的にご自身の予後に影響するがん、“臨床的意義が高いがん”を見つけ、治療を行い、予後が改善していくためです。
当院では、必要な症例に対して前立腺生検(+標的生検)を行います。
最近は、PSAが高い場合、MRI検査を行います。
MRIで異常所見がある場合、その部位からがんが検出されることが多いです。
そのため、MRI画像に基づいた標的(ターゲット)生検を行うことで、余分な生検本数を減らし、“臨床的意義が高いがん“の検出率を上げることが出来ます。
当クリニック院長はこれまで、慈恵医大附属病院でMRI/ エコー融合標的生検を統括して参りました。
当院でも、より詳細なMRI読影を行い、必要な症例に対して標的前立腺生検を日帰りで行います。
なにより不要な生検を極力減らしたいと思っております。
当院における日帰り前立腺針生検、
Local anaesthetic transperineal prostate biopsy(LATP)とは?
経会陰アプローチによる生検は、会陰部(肛門と陰嚢の間)の皮膚を穿刺し痛みを伴うため、全身麻酔や腰椎麻酔(下半身麻酔)を行うことが多いです。
これらの麻酔を行うとしばらく安静が必要で、日本においては入院で行われることが多いです。
近年、欧米を中心にLocal anaesthetic transperineal prostate biopsy(LATP)といい、局所麻酔で経会陰アプローチでの生検が行われるようになってきています。
会陰部皮膚と前立腺周囲に局所麻酔を行い、皮膚にガイド針を穿刺し、そこから生検を行うことで局所麻酔で経会陰生検が可能となっています。
佐々木クリニック泌尿器科芝大門では、2022年12月からLocal anaesthetic transperineal prostate biopsy(LATP)を開始しています。
リスクがない患者さんに日帰りの前立腺針生検を行っています。
Local anaesthetic transperineal prostate biopsy(LATP)、
日帰り経会陰前立腺生検+標的生検の適応
- PSAが異常値である患者さん
- PSAが正常値でも直腸診で異常所見がある患者さん
- 前立腺MRI検査でPIRADS3以上の異常所見を認める患者さん
(MRI異常所見があれば、標的生検も同時に施行検討します) - リスクが高くない患者さん
(リスクについては、適宜ご相談ください。当院では、抗血小板薬内服の患者さんは、症例によっては、内服を中止せず生検を行っております。)
日帰り前立腺生検生検(Local anaesthetic transperineal prostate biopsy(LATP))の方法
麻酔 | 仙骨ブロック麻酔および局所麻酔) |
---|---|
体位 | 砕石位(お産のような体位) |
生検 |
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当院のエコー機器
当院のエコーは、HITACHI ARIETTA 750VEを使用しております。
本機器は、通常の大学や基幹病院で使用される機器で、Real-time Virtual Sonography(RVS)といって、MRIの画像をエコー上に描出することが可能で、同部位に対する標的生検が可能となります。
合併症について
生検は、下記の合併症リスクがあります。よくお読みください。
出血
会陰部から針を刺していますが、少し出血するリスクがあります。
ご帰宅後、血が付く場合は、約10分程度、会陰部を圧迫してください。
骨盤内に血種ができることがありますが多くは保存的に改善します。
血尿
約1~3週間程度、尿に血が混ざることがあります。
特に、出始めにはしばらく(約1か月間程度)血がでることがあります。
前立腺が大きめの患者さんは、出血しやすい場合があります。血尿が強い場合、尿が詰まる(尿閉)場合があります。
この場合、短期間尿道カテーテルを留置する場合があります。また、一過性の血尿の場合は、単回の導尿を行う場合があります。
感染症 急性前立腺炎
生検後に発熱するリスクがあります。頻度は、経会陰アプローチでは1%以下です。
38度以上の発熱した場合は、必ず夜間でもご連絡ください。
場合によってご紹介施設、もしくは近医に救急受診していただきます。(場合によって入院加療が必要となることがあります。)
感染を放置した場合、敗血症を起こす可能性があります。発熱時は、必ずご連絡をいただくか、当院時間外の場合は、救急病院を受診していただきます。
疼痛、違和感
生検後、痛み、違和感が数日継続します。多くは、時間で改善します。
ごくまれに違和感・痛みが継続することがあります。(もともと前立腺が大きい場合など)
尿閉
生検後に前立腺がむくみ、尿が一時期的に出なくなることがあります。
この場合、導尿やカテーテル留置が必要となる場合があります。
もともと前立腺が非常に大きく排尿困難が強い患者さんは、カテーテル留置が必要な状態となり、がんが出ない場合、その後、前立腺肥大症の手術が必要となることもあります。
もともと出が悪い方はこうしたリスクがあることをご了承ください。
生検後の注意事項
当日帰宅後
- 食事は問題ありません。刺激物やアルコールの摂取は控えてください。
- 血尿が出ることがあります。尿が赤い場合は、水分をよく摂取しましょう。
水分を摂取しても尿がどんどん赤くなる場合、尿が出にくい場合は、専用のお電話にご連絡ください。 - 熱が37.5度以上、寒気がする場合、具合が悪い場合も、ご連絡ください。時間外は、救急病院受診をお願いします。痛みや違和感は、あっても多くは問題ありません。
生検後数週間
- しばらく精液に血が混ざることがあります。精液が赤くなったり茶色っぽくなったりします。自然に経過しますのでご安心ください。
- 排尿時に血液が混ざることがあります。(血尿)特に便でいきんだ後や、運動後などに血尿を認める場合があります。いずれも水分摂取によって改善すれば大きな問題はありませんのでご安心ください。
- 痛み・違和感はしばらく継続する場合があります。
- 生検後1週間までは、激しい運動、飲酒はお控えください。その後も、血尿が続く場合は、少し無理をせず経過をみてください。
生検後の連絡先について
生検後、尿閉や発熱などの合併症リスクがあります。
生検後の緊急連絡先は、生検施行前にお伝えしますのでご安心ください。
場合によって、発熱などをした場合は、連携病院でご入院、加療が必要となることがあるリスクはご承知ください。
各資料ダウンロード
生検説明文書および同意書はこちらからダウンロードできます。事前に、サイン可能な患者様は、ダウンロードいただきご持参ください。
- 生検説明文書 ダウンロード
- 生検同意書 ダウンロード