ED(勃起不全)
- ① ED(勃起不全)とは?リスクファクターは?
- ② ED、喫煙はやめたほうがいいですか?
- ③ EDに対して検査は必要ですか?
- ④ EDの治療法について
- ⑤ ED薬について、保険診療で可能ですか?
- ⑤ED薬 価格について
① ED(勃起不全)とは?
ED(勃起不全)とは、男性の性機能障害で満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られない、もしくは維持できない状態が持続することを指します。
1998年の日本における大規模調査では、50歳を超えると中等度から完全なEDの割合は40%を超え、65歳以上では60%を超えていました。(医学のあゆみ 2002; 201:397-400)
この調査の調査票回収率55.2%と、回答できていない調査群も多かったため、さらにEDの頻度は高かった可能性がありました。
さらに、このデータは20年以上前のものであり、現在はもっと増加している可能性があります。
多くの男性が実はEDに悩んでいます。
原因は、大きく分けて以下のように分類されます。
① 心因性勃起障害
何らかの心因性・心理的な要因によるもの
② 器質性勃起障害
勃起に関係する、神経、血管の障害や、ホルモンの異常(内分泌異常)によるもの
③ 混合性勃起障害
原因として①、②が混在するもの
④ 薬剤性勃起障害
薬の副作用として起こるもの。
一部の抗うつ薬、抗精神病薬や前立腺がんなどで用いる男性ホルモンを抑える注射剤・ホルモン剤などがあります。
EDのリスクファクターには様々なものがあげられます。
いろいろありますね。
血管障害によるEDは、動脈硬化の始まりともいわれています。
陰茎に流入する動脈はとても細いためそうした血管に動脈硬化が進行していくとEDになります。
よって、動脈硬化のリスクファクターである、糖尿病、高血圧、肥満、喫煙などは注意が必要です。
また、若い方の原因の多くは心因性の勃起障害です。
性交時の緊張や、結婚後の子作りで定期的に性交を求められることを負担に感じEDとなる方もいらっしゃいます。
自分だけではないので、ぜひ、お気軽にご相談ください!
② ED、喫煙はやめたほうがいいですか?
外来でこんな質問を受けることがあります。
「EDなんですが、1日煙草を20本吸います。やめたほうがいいですか?」
喫煙はリスクファクターとされております。また、喫煙本数や喫煙期間などもEDと関係すると言われています(PLoS One 2013;8:e60443,Am J Epidemiol 2007; 166:803)。
そもそも喫煙によりEDとなるメカニズムは、血管内皮細胞の障害、陰茎血流への障害、交感神経刺激などがあると考えられています(Sex Med Rev 2016;4:366)。
喫煙は血管の内部にも影響してるんです。
喫煙は、肺がんや泌尿器領域ですと、膀胱がんや腎がんのリスクファクターにもなります。できるだけ禁煙に努めましょう。
禁煙が難しい場合は、禁煙外来の受診をお勧めします。
③ EDに対して検査は必要ですか?
EDを認める場合、まず、大事なことは問診や原因がないか検討することです。
前述しているように様々な原因がありますが、特に急に始まったものはこうした検討が重要です。
例えば、
- 新しく薬を他の科で開始していないか
- 外傷や手術を最近受けていないか
- ホルモン変化による体調変化がないか
など検討する必要性があります。
検査として、下記のような専門的な特殊検査もあります。
これらは、性機能専門医が行うもので一般的なものではありません。
- プロスタグラジンE1の海綿体注射による反応確認
- 夜間発起現象の評価
- エコーによる陰茎血流の検査
- 造影CT検査 など
こうした検査を行うことは、一般診療においてはほとんどありません。
多くは、動脈硬化、年齢に伴うEDでそれらに対して検査を行うことはごく稀です。
検査が必要かどうかを含めEDがある場合、まず、お気軽にご相談ください。
④ EDの治療について
まず、下記に当てはまる場合それぞれに対応します。
① 治療可能なEDに対する治療
(男性ホルモンが足りない場合のテストステロン補充療法や心理療法などのメンタルケア)
② 生活習慣の変更・リスクファクターの排除
(メタボの改善、禁煙、高血圧のコントロールなど)
特に①は男性更年期も影響します。
男性更年期に関しては下記をご参考にしてください。
男性更年期(LOH症候群)について
この中でAMSという質問票があります。
これが軽症以上に当てはまる場合は男性更年期障害をご相談ください。
次に、薬物療法として、PED5阻害剤という薬剤を使用します。
このPDE5阻害剤とは、バイアグラなどの薬剤です。
下記の3種類が、日本では処方可能となっています。
これらの薬剤を試して効果があるか判断します。
作用時間の差や、食事の影響、それぞれの薬剤の規格の差(例えばバイアグラも25㎎と50㎎があります)、正規品とジェネリックなど違いがあります。
どの薬剤がいいかは、個人差もありますので、お気軽にご相談ください。
こうした薬剤が使用できない場合は、海綿体自己注射や陰圧式勃起補助具などを用いるオプションがあります。
⑤ ED薬について、保険診療で可能ですか?
ED薬について、保険診療で可能ですか?
EDの場合、まず、バイアグラなどのPDE5阻害剤を使用します。
一般的なEDに対するこうした薬物療法は自費治療となります。
不妊治療の中のED治療の一部保険適用
ただし、2022年から不妊治療におけるED治療が一部保険適用となりました。
保険適用としての対象は、勃起不全による男性不妊のみと考えられます。
患者さんがパートナーと妊活に取り組んでおりかつ、勃起不全が不妊の原因となっていることが確認できないとED薬は保険適用とはならないと思われますのでご注意ください。
また、保険適用にはさらにいくつかの条件があります。
- ① ご本人様またパートナーの方が6か月以内に保険診療で「一般不妊治療」又は「生殖補助医療」を受けていること
- ② おかかりつけの不妊治療医療機関が、厚生労働省認可の一般不妊治療管理料算定医療機関であること
があります。
また、保険で処方できる場合も1か月4錠以内で継続して処方できるのは、6か月程度で最長でも1年とされています。
男性不妊症でおかかりの患者様は、処方可能な施設でご相談ください。