膀胱炎
① 膀胱炎に種類があるの?
膀胱炎には大きく分けて 急性と慢性および単純性と複雑性があります。
簡単に言い換えると急に起こったのか・そうでないのか、何か他に原因があるのか・ないのかといったところです。
最も多いのは細菌性の急性単純性膀胱炎です。
原因疾患があり膀胱炎を繰り返し起こすものを複雑性膀胱炎といい、結石・排尿障害・悪性腫瘍などが原因となることがあります。
② 急性膀胱炎の原因は?
感染症が原因で、女性に圧倒的に多い
急性膀胱炎の大半は、細菌による感染症です。
急性膀胱炎は女性のほうが、圧倒的に頻度が高いです。
女性の尿道は約4㎝程度で短く、外部から細菌が入りやすいためです。
ちなみに男性は、男性の尿道は16㎝から20cm程度あります。
よって細菌も外部から膀胱まで入りづらい構造となります。
また、膀胱の手前に前立腺があり、膀胱炎に先行する形で前立腺炎が起こることが多いです。
細菌性の前立腺炎は、発熱し排尿障害などの症状が出現することがあります。
急性の膀胱炎では、通常、発熱はありません。
日頃から陰部を清潔に保ちましょう
原因の細菌の第1位は大腸菌です。
70-80%は大腸菌から起こります。(JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015, 日本化学療法学会雑誌 vol 64)
尿を我慢した後、性交渉後、疲れている時などに膀胱炎になることがあります。
年齢が上昇していくと尿漏れが起こることがあります。
尿漏れがある患者さんは、パッドを使用しますが、それらが原因で感染を起こしやすくなることがあります。
神経質になることはありませんが、やはり日頃から陰部を清潔に保つことも重要となります。
③ 膀胱炎の検査は?
急性膀胱炎の検査は以下のとおりです。
尿検査
尿検査でまず、膿尿がないか確認します。
膿尿とは、尿中に白血球が出てきている状態です。
つまり、尿内に細菌があると白血球が尿中に出てきます。(本来、尿中には白血球はありません)
尿検査は通常3-15分程度で結果がわかります。
尿培養検査
尿培養検査では、細菌の有無を確認します。
尿を取るだけですので痛みはありません。
結果がでるまでに数日から1週間程度、時間がかかります。
膀胱炎を繰り返す場合は、さらに原因精査を行います。
エコー検査
超音波で腎、膀胱、前立腺などを観察します。
結石や腫瘍などの有無を確認します。痛みはない検査です。
残尿測定検査
尿の残りが多い場合、感染を繰り返すことがあります。
約50ml以上の残尿がある患者さんは注意が必要です。
尿細胞診検査
尿中にがん細胞がないか確認する検査です。
膀胱がんなどが原因で膀胱炎を繰り返すこともあります。
膀胱鏡検査
膀胱内に異常がないか、胃カメラのような細いファイバーを尿道から挿入して膀胱内を観察します。
通常外来で行います。検査を行っている時間は数分間です。
その他の画像検査
場合によってMRIや造影CT検査などを行う場合もあります。
④ 膀胱炎の治療は?
細菌性の膀胱炎の治療は抗菌薬となります。
一般的な単純性膀胱炎(たまたま膀胱炎になったもの)は約3-7日の抗菌薬内服で改善します。
抗菌薬の効かない膀胱炎には、検査のうえで他の内服薬を
ただし、最近では耐性菌による膀胱炎もあります。通常の抗菌薬に抵抗性となるものです。
この場合、最初の抗菌薬を内服しても改善しない場合があります。
尿の培養検査で薬剤感受性を確認し、その結果に合わせて内服薬を変更します。
複雑性膀胱炎では、原因の治療も行っていきます。結石、腫瘍などがある場合、その疾患の治療も必要となります。
⑤ 注意すべき膀胱炎は?
たまたま膀胱炎になった場合、多くは抗菌薬の内服で改善しますのでそれほど心配はありません。
下記のような場合は注意です。
また、妊婦さんが膀胱炎になることがあります。この場合は、一部の抗菌薬は内服できません。
自己判断で持っているお薬などを内服したりせず、必ず、ご確認、ご相談ください。
繰り返す膀胱炎で漫然と抗菌薬で治療されている患者さんは、特にご注意ください。適宜、泌尿器科にご相談ください。