AGA(男性型脱毛症)について
① AGA(男性型脱毛症)とは?その原因は?
AGAはAndrogenetic Alopeciaの略で、日本語では「男性型脱毛症」と呼ばれています。
AGAは、主に男性ホルモンによって起こる疾患ですが、それ以外にも遺伝、ストレスや生活習慣など様々な要因が影響して起こると考えられています。
AGAは年齢とともに発症が高くなり、50代では約40%がAGAを発症しています。(男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版|日本皮膚科学会ガイドライン)
AGAの原因は、遺伝以外には、DHT(Dihydrotestosterone:ジヒドロテストステロン)がAGA発症に関係していると考えられています。
ジヒドロテストステロンとは、毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体と結合します。
その時に、TGF-βといった物質を放出して毛母細胞の増殖や分化を抑制します。
頭髪のヘアサイクルは通常2~6年といわれています。
AGAではこのサイクルが非常に短くになります。
よって、毛が十分成長せず、成長しても細く、抜けてしまうことも多くなります。
② AGAの治療は?
AGAの発症には、DHT(ジヒドロテストステロン)が大きく影響しています。
AGAを止める、改善するためにはこのDHTを抑制する必要性があります。
下記の薬剤がAGAに使用されます。
これらの薬剤は5αリダクターゼ阻害薬といわれ、テストステロンがジヒドロテストステロンに変換されるのを防ぎます。
これによってAGAのサイクルを改善させます。
5α還元酵素阻害薬には、2つあります。
- フィナステリド(製品名 プロペシア)
- デュタステリド(製品名 ザローガ)
基本毎日内服する薬となります。
まず、約6か月間継続して効果を確認します。
いずれも保険適用がないお薬です。費用はホームページをご確認ください。
③ AGA治療薬、フィナステリドとデュタステリドの違いはあるの?
主なAGA治療薬として、5αリダクターゼ阻害薬があります。
これは主に2種類、フィナステリドとデュタステリドがあります。
では2剤、何が違うのでしょうか?
5αリダクターゼ阻害薬には1型と2型があり、フィナステリドは1型のみを阻害しますが、デュタステリドは1型・2型どちらも阻害します。
作用時間については、フィナステリドは短いのですが、デュタステリドは長く作用することが出来ます。
そのため、デュタステリドの方が、効果が高く、発毛効果がフィナステリドの約1.5倍あると言われています。
5αリダクターゼのレセプター存在部位は、頭部の部位において違いがあるとされています。
例えば、5αリダクターゼ1型は、側頭葉や後頭部に多いとされています。
よって、こうした部位によっても薬剤選択を考慮する必要性があります。
さらに、副作用にも違いがあります。
効果、副作用を考慮して治療薬を選択する必要性があると考えられています。
お気軽にご相談ください。
④ AGA治療薬の副作用は?
AGA治療薬は、頻度はそれほど高くはありませんが、いくつかの副作用があります。
1)初期脱毛
AGA治療の初期に、毛が抜けることがあります。
これを初期脱毛といいます。
狂っていた発毛サイクルが正常に戻り発毛が始まることで古い毛髪が抜けることが原因と考えられています。
内服開始、1週間前後で抜け毛が増加し約2か月前後で落ち着くことが多いとされていますのでご安心ください。
少し長引く場合もありますが落ち着いて経過をみてください。
2)性機能障害、勃起障害
内服により性機能障害が起こる場合があります。
もともとAGAの患者さんはEDの場合も多いです。
男性ホルモン(テストステロン)の分泌が正常かどうか確認する必要がある場合があります。
3)肝機能障害
頻度は低いですが、薬剤による肝障害が起こる場合があります。
4)血精液症
フィナステリドの内服では、血精液症(精液に血液が混ざること)が起こる場合があります。
5)精液量の減少
デュタステリドでは、精子数や精子量が約20%減少するといわれています。
通常は中止後、時間とともに改善することが多いとされますが、減少が継続する場合もあります。
細かい副作用については、各メーカーのサイトをご確認ください。